日本のクリスマスとフランスのハロウィン

クリスマスが近づいてきて、「日本でもクリスマスってやるの?」としばしば聞かれるようになった。

パーティーとかはするけど、日本人の大半はクリスチャンじゃないから、宗教的な意味はほぼないし祝日でもない、と答えると、「コマーシャルなイベントなんだね。フランスのハロウィンと同じ」と言われた。

なんとなく西洋諸国はみんな伝統的にハロウィンをやっていそうなイメージがあったのだが、そうでもなかったらしい。次の日がカトリックの万聖節でフランスでもお休みなので、なんだかそれに合わせてキリスト教とぼんやり結びつけていたが、そういえばよく考えたら死者の霊だの魔女だのおばけだの、キリスト教要素皆無な異教の祭りであった。

フランス人から見ると、ハロウィンは「アングロサクソンの文化」であるそうで、20年ほど前はフランスでもハロウィンなんか全くやっていなかったらしい。それが今では、イベントでモノを売りたい商業主義に後押しされて定着しているという話だ。

ハロウィンに関して言えば、日本でもほぼ同じことがここ数年で急激に起こった実感があるのでよくわかるが*1、日本でのクリスマス(特にイヴに親しい人と過ごす感じ)はそれこそ私が生まれる前から完全に根付いていて、全くの「コマーシャルなイベント」なのかというとちょっと迷う部分がある。もちろん日本のあれが宗教的イベントだとも思わないし、商業的な面が強いのも否定しないが、こういう輸入モノのイベントとしては、ハロウィンやバレンタインと比べても別格の特別感があると思っている。輸入文化とはいえ、クリスマスイヴは既にハレの日に近いのではないだろうか。

本家のクリスマスだって、元を辿ればキリストの誕生日など関係ない、冬至の太陽の復活祭をキリスト教が取り込んだものだったわけで、異文化でも定着して長い時間が経てば、精神的な意味合いや重みも変わってくるのだろう。

 

ハロウィンといえば、今年は渋谷でパリピたちが度を越した馬鹿騒ぎをして、逮捕者が出たと話題だった。確かフランスでも似たようなニュースがあったなと思い出し、お互いハロウィンが文化として若すぎるぶん、イベント自体に重みが足りないのかもしれないとふと思った。

*1:おそらく次はイースターだろう