ボルドー観光案内 vol.1 ブルス広場と水鏡

2017年、ボルドーは世界的ガイドブック「ロンリープラネット」で、ベストな旅行先の街部門1位に選ばれた。2015年にはフランス人の住みたい街No.1にも輝いている。

www.lonelyplanet.com

ワインが有名なのはもちろんのこと、旧市街は「月の港ボルドー」としてまるっと世界遺産に登録されているし、別の世界遺産である「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」に含まれる教会群もある、見どころ溢れる街だ。

 

f:id:bleu-turquoise:20181230224537j:plain

「月の港ボルドー」としての世界遺産登録範囲(UNESCOサイトのPDFより。私もこの中に住んでいる)

Bordeaux, Port of the Moon - UNESCO World Heritage Centre

 

しかし、日本人の旅行先としてはまだまだマイナー。ガイドブックの王道「地球の歩き方」を見ても、パリや南仏なんてそれだけで1冊あるのに、ボルドーは「フランス」という国全体をカバーした本でほんの数ページが割かれているのみ。圧倒的情報不足である。

というわけで、せっかくボルドーに住んでいるので、ちょっくら観光名所を紹介してみようかなと思う。vol.1とか書いたけれど、続くかどうかは気分次第!

 

ボルドー観光をするなら、絶対に外せないのがブルス広場(Place de la Bourse)水鏡(Miroir d'eau)。「ボルドー」で検索するともうここばっかり出てくる、まさに街の顔だ。

そんなわけで、最初はここから始めてみようと思う。

 

ブルス広場

上の地図でもわかるように、ボルドーはガロンヌ川が三日月のように蛇行したカーブ部分に沿って街が発展した。それが「月の港(Port de la Lune)」の二つ名のゆえんで、三日月は今でも街のシンボルである。

そんな三日月の背中(いや腰ぐらいかな?)に、ブルス広場が川に向かって開いている。

 

f:id:bleu-turquoise:20181230224650j:plain

 

広場を囲む18世紀の壮麗な建築が、道路を挟んで川側にある水鏡に反射して大変美しい。

ネット上にも似たような写真が死ぬほどあるのだが、ここに来ると写真を撮らずにはいられない。昼間ももちろんきれいだが、夜ライトアップされた姿はまた格別なので、昼と夜両方見ることを強くオススメする。

夜の写真はこちらの記事で↓

www.moonport-press.com

 

広場の真ん前にトラムC線の駅*1があり、水鏡と広場の間をトラムがガンガン通る。近代的なデザインのトラムがこの風景に入り込むと邪魔かと思いきや、なぜだか妙にマッチして、古いものと新しいものがうまく混在したボルドーを象徴しているかのようだ。

 

この広場は、最初「ロワイヤル(王の)広場」という名前だった。フランスの絶対君主制が頂点にあった時代、多くのフランスの大都市でロワイヤル広場を作ることが流行しており、ボルドーでも中世以来街を守ってきた城壁を取り壊したあとにロワイヤル広場を作ろうという案が17世紀に浮上した。しかしボルドーっ子はひねくれ者なのか、街を運営していた市議会がこれに反対。1726年*2に当時のアンタンダン(地方監察官)のクロード・ブーシェが議会を説得するまで実現しなかった。

設計にはルイ15世のおかかえ建築家だったジャック・ガブリエルが迎えられ、彼の死後は息子のアンジュ=ジャック・ガブリエルがあとを継いで、建設は1731年から1755年にかけて行われた*3

 

f:id:bleu-turquoise:20181230224856j:plain

 

建設当初は広場の真ん中にあったのはルイ15世の騎馬像だったが、その後フランス革命で溶かされてしまい、1869年に今ある三女神の噴水が設置された。革命の後紆余曲折を経て広場の名前もブルス広場に変わり、今に至っている。

10月の間は、乳がん啓発のピンクリボン月間で、この噴水から出る水がピンクになる。さすがにボルドーだからといって噴水から赤ワインが出ているわけではない(←ワインだと思った人)。

 

広場を囲んでいる建築群は、北側のブルス館(Hôtel de la Bourse またはブルス宮殿 palais de la Bourse)、真ん中の Pavillon central、南側のフェルム館(Hôtel des Fermes または Hôtel des Douanes)に分かれる。ブルス館がジャック・ガブリエル息子、フェルム館がジャック・ガブリエル父の設計だ。

見るからに立派だし、ブルス”宮殿”と呼ばれることもあるので、お城的なものなのかと思う人も多いだろうが、王様が滞在したりするようないわゆる宮殿ではない。ブルス館は完成当初からボルドーの商工会議所の建物だったようだし、フェルム館は税金取り立て人のギルドのために建てられた(現在は関税博物館となってその歴史を伝えている)。間の Pavillon central も、ギュイエンヌ*4の海軍本部だったそうだ。

 

すべての建物で、切妻屋根型の破風に彫刻が施されている。

ブルス館のものは、王子たちの偉大さを称えるもの(ブルス広場側)、貿易の道を開くネプチューン(川に面した側)、ガロンヌ川とドルドーニュ川の合流(ジャン=ジョレス広場側)、大洋と地中海の合流(シャポー=ルージュ広場側)。

フェルム館のものは、芸術を守護するミネルヴァ(ブルス広場側)と、ボルドーの商業を守るメルクリウス(川に面した側)。

Pavillon central のものは、「お金をふりまく"気前良さ"」。なんじゃそりゃ、と思ったので見に行ってみたが、遠くてよくわからない…。これお金まいてるのかな?

 

f:id:bleu-turquoise:20181230224952j:plain

絵画にもそういうモチーフはあるらしいので、たぶん珍しいテーマではないのだろう。

水鏡

広場の向かいの水鏡は、 ミシェル・コラジュ氏のデザインで、川岸の古い地下倉庫の上に2006年に作られた新しいもの。2 cmくらい水が張られた大きな水盤である。

昔のボルドーを知る人が言うには、以前のガロンヌ川沿いはあまり綺麗ではなく柄も良くないエリアで、見るものといえばピエール橋くらいといった感じだったらしい。それを今の市長が頑張って水鏡や花壇や遊歩道を整備し、あのボルドーっ子憩いの川べりが出来上がったのだそうだ。水鏡はブルス広場を映して景観を作り出すだけではなく、夏には大人も子供もバシャバシャ中で遊んでさながらプールのようになる。

 

f:id:bleu-turquoise:20181230225046j:plain


しばらく見ていると、数分おきにミストが出たり、水が引いたり、またじわじわ底から水が出てきたりを繰り返すようになっている。ぼんやり眺めてのんびりしたボルドー時間を楽しんでもらいたい。

また、月の港の名の通りこのあたりで川がぐっと曲がっているので、左右に広がる街も広場や水鏡からよく見える。私は特に、南側のサン・ミシェル教会の尖塔が見える風景が好きだ。

 

f:id:bleu-turquoise:20181230225136j:plain

 

2018年12月現在、水鏡はメンテナンスのため冬の間(11月から4月まで)は稼働しないとアナウンスされている。三女神の噴水も止まっているし、ブルス館の一部も修復のため10月くらいから足場で隠れてしまっている。もちろんボルドーの見どころはここだけではないのでいつ訪れてもらっても良いのだが、メジャーな観光スポットも冬の間は修復中だったりお休みだったりするので、やはりガッツリ観光したいなら夏の観光シーズンが一番良いのかなと思う。

 

f:id:bleu-turquoise:20181230225228j:plain

水のない水鏡。これはこれでレアかも

※第2弾書きました。

www.moonport-press.com

アクセス

 トラムC線 Place de la Bourse下車

 

<参考>

*1:看板も時刻表も何もなく、ただホームだけがある

*2:手元の地元ガイドだとこうだが、1728年と書いてあるサイトもある

*3:ちなみにこの息子の方は、パリのコンコルド広場やヴェルサイユのプチ・トリアノンを設計したスゴいやつ。パパと名前がほぼ同じで紛らわしい!

*4:ボルドーのあるアキテーヌ地方の古い名前